【セールス座談会】ただ売るだけでは市場は変えられない。ランプが挑む「食の未開拓市場」と、事業開発型セールス

【セールス座談会】ただ売るだけでは市場は変えられない。ランプが挑む「食の未開拓市場」と、事業開発型セールス

飲食・食物販向けSaaS「テイクイーツ」を展開し、急成長を続ける株式会社ランプ。スイーツ領域での成功を足がかりに、今まさに「飲食領域」という巨大な未開拓市場へ舵を切ろうとしています。

本記事は、SaaS企業などでのセールス経験があり、より難易度の高い課題解決や事業開発(BizDev)に挑戦したい方に特に読んでいただきたい記事です。

完成されたプロダクトを単に売るのではなく、市場の勝ち筋を自ら創り出す「事業開発型セールス」のリアルと醍醐味を、最前線で事業を牽引する3名の対談を通してお伝えします。

小林 俊紀 / 執行役員 事業統括本部長

早稲田大学卒業後、新卒で日本マクドナルドに入社し、ストアマネージャーを経験。その後、ベンチャー企業へ東京支社1人目社員として参画し、CEOを務める。デロイト トーマツ グループで営業、マーケティングマネージャーとして経営のフレームワークを体系的に実践した後、複数社のスタートアップ企業でCOOを歴任。2025年12月、ランプに執行役員 事業統括本部長として参画。

福澤 彰吾 / セールス

静岡大学理学部数学科を卒業後、システム開発企業を経てDXコンサルティング企業に参画。データサイエンティストやDXコンサルタントとして活躍。法人営業組織の立ち上げ後、営業執行役員に就任。その後、老舗鉄鋼商社でホールディングス社長室とDX推進部長を兼任。ホールディングス全体のAI導入や、デジタル技術による業務変革を牽引。2026年7月、ランプに参画。

樋口 隆太朗 / BizOps

早稲田大学卒業後、新卒でパーソル(旧インテリジェンス)に入社し、求人広告営業を経験。その後、スポーツ系メディア企業に15年在籍し、広告営業やメディア立ち上げ、営業企画に従事する傍ら、Jリーグクラブへ出向しプロモーションも担当。2023年よりDXコンサルティング企業にて新規セールスやスクール集客を牽引した後、2025年11月にランプへ参画。現在はBizOpsとして、現場の商談情報の分析やセールス資料の型化などを担う。

「競技が変わる」感覚。3つのセグメントで紐解くセールス戦略

――まずは現在のターゲット市場と、その広がりについて教えてください。

小林:

ランプのターゲット市場は、大きく3つのセグメントに分かれています。

1つ目が「スイーツ・物販領域」です。ここは私たちがこれまで圧倒的なシェアを築いてきた領域であり、いわゆる「電話対応のDX」や「24時間受付」という明確な課題解決がお客様に刺さる領域です。

2つ目が「すでにテイクアウトに取り組んでいる飲食領域(寿司、うなぎ、ピザなど)」です。ここでは、利便性の向上やテイクアウト売上をいかに上げていくかに主眼が置かれています。

そして3つ目が「まだテイクアウトに本格的に取り組んでいない飲食店・スーパーなどの中食領域」です。ここは、需要そのものをどう創り出すかに挑戦する必要があり、最も難易度の高い未開拓市場です。

――1つ目の「スイーツ領域」では、どれくらいの基盤が築けているのでしょうか?

福澤:

わかりやすい例で言うと、デパ地下のスイーツゾーンに出店しているブランドのほとんどが、すでに私たちのお客様であるか、あるいは過去に一度は商談をしたことがある状態です。それくらい、スイーツ領域においてはシェアと認知を獲得しています。

クリスマスなどの「季節商品の事前予約」は非常にニーズが高い一方で、電話や紙の対応だけではどうしても機会の取りこぼしやミスのリスクが発生してしまいます。

私たちはそうした「テイクアウトオペレーションの最適化」において強みを発揮してきました。その結果、リリースから6年で全国3400店舗に導入いただいており、アナログな体制を改善してきたという基盤があるんです。

小林:

しかし、今は転換期に差し掛かり、親和性の高いスイーツ領域から、テイクアウトの導入が進んでいない飲食領域という別の市場へ切り込んでいくフェーズになっています。

今までの「勝ち方」が、そのまま通用するわけではありません。お客様の抱える課題も、現場のオペレーションも全く異なります。ターゲットが変わることで、商談で求められるアプローチや会話の質が全く変わる。まさに「競技が変わる感覚」です。

福澤:

難しさがある反面、市場のポテンシャルは非常に高いです。

実は、米国ではほぼ全てのお店がテイクアウト対応可能で、レストランにおけるテイクアウトを含むオフプレイス注文の割合が、全注文の約75%を占めているというデータがあります。どんなお店でもテイクアウトできることが当たり前なんですね。一方日本の場合、テイクアウトは一部業態のみで、まだ大きな伸び代が残されています。実際にテイクイーツを導入いただいたお客様の多くは、開始時はテイクアウトが売上の約5%程度しか占めていません。

インバウンド需要が拡大し、訪日客が気軽に日本の食を楽しめるテイクアウトのニーズは今後さらに高まっていくと見ています。ニーズの高まりにより市場の余白が大きい、これから絶対に伸びる領域だと確信しています。

小林:

このポテンシャルの高い未開拓市場へ、スイーツ領域で培った基盤をもとにフルスイングできる。単なるSaaSの拡販ではなく、市場ごとに戦い方が異なる難易度の高い環境で、新しいルールを自分たちで作っていく。これが今のランプのセールスの面白さです。

「ツール売り」ではない。新しい概念を提案するコンサルティングとしての役割
――新しい領域においては、どのようなアプローチが求められるのでしょうか?

小林:

求められるのは人によるコンサルティング力です。

大前提として、昨今のSaaSにおいて「機能の優位性」を保ち続けることは非常に難しいという背景があります。機能というものはすぐにコモディティ化し、他社が新しい機能を出せばうちも出すといったイタチごっこになりがちです。だからこそ、この領域では「システムの機能」を売るだけでは絶対に勝てません。

福澤:

特に「まだテイクアウトをしていない企業」に対して、テイクアウトを導入していただくことは非常にレベルが高いです。「便利なツールがあるので導入しませんか?」というアプローチでは、お客様の心は動きません。

飲食店の経営層が直面している本質的な課題は、単なる業務効率化ではなく「売上をどう上げるか」です。

そして、飲食業界における売上向上施策といえば、広告やデリバリーなどの「外部広告戦略」に頼るのが主流でした。しかし私たちは、テイクイーツというシステムを活用することで、「外部に頼るのではなく、内部努力によっていかにリピート率を上げるか」「テイクアウトという新たな売上チャネルを作るか」という新しい売上の柱を提案しています。まさに、一緒に新規事業を作るような感覚ですね。

たとえば商談では、単に「注文受付をオンライン化しましょう」とは話しません。その企業がどの時間帯に機会損失を起こしているのか、どの商品が事前予約と相性がよいのか、現場のオペレーション上どこに負荷が出るのか、そしてどの顧客体験を変えれば再来店につながるのか。

そうした論点を一つひとつ整理しながら、テイクアウトを単なる販売チャネルではなく、新しい売上の柱として設計していきます。

――なるほど。テイクアウトで売上を上げるという新しい概念を、どのように納得いただいているのですか?

樋口:

単に数字で証明するというより、「顧客の体験」をストーリーで伝えるようにしています。

具体的な事例として、あるスーパーマーケットさん(中食・お惣菜)へのアプローチをご紹介します。

中食業界にはテイクアウト予約の文化がまだ根付いていないため、そもそもテイクアウトを導入する必然性を作る必要がありました。そして考えたのが、「WEB上でのお惣菜の可視化」と「献立リコメンド」という、新しい体験設計です。

スーパーのお惣菜を買いに来る方は、「その場」でお惣菜を決めなくてはいけません。売り場を訪れるまで「何が残っているか」が分からず、事前にその日の献立も決められません。そこでテイクイーツの商品一覧や在庫機能を使い、「今どのお惣菜があるか」をリアルタイムで表示し、そのお惣菜に合う献立をリコメンドすることで、「お客様が通いたくなる理由」を新しく作れると提案しました。これは個人商店の接客から着想を得たものです。

その商談において、私たちは「テイクイーツの機能」の説明は一切していません。私たちが提案したのは、「古き良き商店街のような、『おすすめの体験』をWEB上で表現しませんか?」という物語です。

まさに新規事業の立ち上げのような「顧客から想起され、選ばれる状態をどう創るか」というストーリーの設計から関われることは、ランプの営業の難しさであり、面白さでもあります。

また、セールスが現場で得てきた一次情報を、そのまま個人の経験で終わらせないことも意識しています。

たとえば、どの業態でどんな反論が出やすいのか、誰が意思決定に影響を持つのか、PoCを始める際にどの店舗から着手すると成功しやすいのか。そうした情報を整理し、提案ストーリーや営業資料、ヒアリング項目に落とし込み、磨き込んでいきます。

つまり、現場の泥臭さを、組織として再現できる勝ち筋に変えていくのがBizOpsの役割です。

小林:

システム導入はあくまで「手段」であり、目的はお客様の「商売の再構築」です。

テイクアウトをしない理由、現場のオペレーション負荷、売上への不透明感。そういった重い腰を上げるために、顧客のビジネスそのものに深く入り込み、外部広告頼みから内部努力への転換を促す。そこまで踏み込んでいるからこそ、私たちのセールスは「コンサルティング」や「事業開発(BizDev)」に近いのだと思います。

BizOpsとの連携。「感情の壁」を越え、勝てるストーリーを創り出す

――非常に難易度の高い営業ですが、組織としてどのように乗り越えているのでしょうか?

小林:

先ほど「内部努力でリピート率を上げる」「新たな売上チャネルを作る」という話をしましたが、実はこの概念自体は、経営層や本部の皆様には大抵同意していただけるんです。「確かにその通りだよね」と。

しかし、いざ提案フェーズとなると、現場から「オペレーションが回らない」「今はデリバリーの対応で手一杯だ」という強烈な拒絶反応が返ってきます。いくら素晴らしい提案をしても、現場の店舗が大変なのは変わりませんから、現実としてここで話が止まってしまうことが非常に多いのです。

福澤:

そこで大事なのは「人の感情を動かせること」だと考えています。

「現場が手一杯だ」と言われても、本質的に新しいシステムが「導入できない」わけではありません。クライアントの「余裕がない」「やりたくない」という『感情の壁』を越えられていないだけなのです。

だからこそ、この感情の壁に徹底的に寄り添い、現場のキーマンを見極め、どうすれば納得してもらえるか泥臭く入り込んでいく。この「感情の壁を越える」ことこそが、本当の意味での営業力だと私は考えています。

いきなり全店導入を前提に話すのではなく、まずは一部店舗や一部商品からPoCとして始めることもあります。

現場にとって怖いのは、システムそのものではなく、「明日から現場が混乱するのではないか」という不安です。だからこそ、小さく始めて、現場が回る実感をつくる。その成功体験をもとに、順を追って展開範囲を広げていくことが重要です。

そのためにも、クライアント先の意思決定フローや人脈、誰を、どのタイミングで押さえるべきかなど、深く考え抜いてアプローチしていきます。

――大きなシステムの前に、まず目の前の人を動かすのですね。そのために、他に意識していることはありますか?

樋口:

自分たちがお店のお客さんになることです。

クライアントが飲食関係であるため、「自分たちが実際にお店に食べに行き、テイクアウトをし、一人の顧客の声として提案できる」ことは、ランプの1つの特徴だと思います。

「私自身がファンだからこそ、こういう体験ができたらもっと通いたくなります」という一次情報の声は、どんな精緻なロジックよりも、現場の方々の感情を動かす強力な武器になります。

小林:

非常に難易度が高い営業ですが、各メンバーがそれぞれ工夫することで、市場の壁を突破しようと試行錯誤しています。

そして、この個人の工夫は、これからのランプ、ひいては日本のテイクアウト市場拡大のための集合知になり得ます。

テイクアウトに関するデータは非常に少ないのですが、私たちが得た一次情報を構造化し、再現性のある「型」へと落とし込んでいくことで、日本の食文化を次の形へと進化させる資産にもなると考えています。

まさに未開拓の市場の先駆者になる醍醐味でもありますね。

求めるのはバイタリティ。経験豊富なプロ集団が「スケール」へ挑む

――現在のランプの営業組織について教えてください。

小林:

現在のエンタープライズセールスチームは4名。それぞれが別の環境で豊富な経験をしてきたプロフェッショナルで構成されています。また、今のランプは創業期の「何もない」フェーズではなく、スイーツ領域での確固たる基盤がある状態です。

テイクアウトという巨大な未開拓市場に対して、安定した基盤と資金力の上で、経験豊富でプロフェッショナルな仲間たちがそれぞれの専門性を発揮し、手触り感を持ってフルスイングして市場を開拓している。そういう意味では、まるで大人の文化祭のような、非常に稀有な環境だと思います。

福澤:

また、最近はセールスとCSが統合された体制を敷いています。売って終わりではなく、導入後にお客様の売上が実際に上がるまで一気通貫で責任を持ちます。だからこそ、自分の提案がお客様のビジネスを変えたという実感を強く得ることができます。

――今後どのような仲間を求めているか教えてください。

小林:

そういう環境ですので、「特定の職能や細分化された役割を極めたい方」には向かないかもしれません。今のランプでは、特定の領域だけに閉じず、広い視野を持って、顧客の経営課題、現場オペレーション、プロダクトの可能性を横断して考えられる方が合うのではないかと思っています。

自分で仮説を立て、現場で検証し、自らの手で市場を切り拓き、得られた一次情報をもとに勝ち筋を組織の型へと変えていける方にとっては、最適な環境だと思います。私たちも正解は分からないので、役割を分担しながら、肩を並べて走っていきたいです。

「食のインフラ」を再構築するという壮大なビジョンに共感し、私たちと共に大人の文化祭を楽しめる方をお待ちしています。

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