【役員インタビュー】マクドナルド、デロイトを経てランプへ。世界基準の型を知る役員が、日本の次世代のために「食×地方」にオールインした理由
株式会社ランプは、デジタルの力で地域社会を灯すことをミッションに掲げ、食品小売向け注文受付・管理SaaS「テイクイーツ」の開発と運営を行っています。
今回は、日本マクドナルドからキャリアをスタートし、ベンチャー企業でのCEO、デロイト トーマツ グループでの経営コンサルタントを経て、数々のスタートアップでCOOを歴任した後にランプのビジネス本部長としてジョインした小林さんにインタビューを行いました。圧倒的な実績を持つ彼が、なぜ次なる挑戦の場として「食×地方」を掲げるランプを選んだのか。これまでのキャリアで培った「型化」の重要性や、ランプで実現したい未来、そして求める人物像に迫ります。
小林 俊紀 / 執行役員
1979年生まれ。早稲田大学卒業後、新卒で日本マクドナルドに入社し、ストアマネージャーを経験。その後、ベンチャー企業へ東京支社1人目社員として参画し、CEOを務める。デロイト トーマツ グループで営業、マーケティングマネージャーにて経営のフレームワークを体系化した後、複数社のスタートアップでCOOを歴任。2025年12月、株式会社ランプに執行役員 事業統括本部長として参画。
マクドナルドで学んだ「型」の威力と泥臭いピープルマネジメント
――まずは1社目である日本マクドナルド社にご入社された理由と、当時の業務内容について教えてください。
現場でビジネスの基礎を学べる環境に惹かれたのが一番の理由です。
身近に店舗がたくさんあり、新人教育や型がしっかりしているマクドナルドであれば、体系的にビジネスを学べる良い機会だと思い入社を決めました。
入社後は本部でトレーニングを受け、その後店舗に出てストアマネージャー、いわゆる店長職を約3年半務めました。1店舗あたり5億円から10億円という売上規模になるため、中小企業の経営に近い感覚で事業計画を作り、それに合わせて施策を動かしていく役割でした。
――マクドナルド社はオペレーションが強いことで有名ですが、そこでの経験からどのようなことを学ばれたのでしょうか。
マクドナルドでは、30分ごとの売上予算に対して必要な人数とポジションが明確に割り振られています。1回あたりの会計にかける時間や商品提供までの時間もすべて数値化され、細かく計測されているため、どこかのポジションが滞ると全体が回らなくなり、どこで売上が落ちたか分かる構造になっているんです。
この型に照らし合わせて、ずれている部分を見つけて是正していくと売上と利益が上がるということを、手触り感を持って経験しました。今のKPIマネジメントや、ザ・モデルのような考え方をいち早く体感できたことは大きな財産です。
――現場のマネジメントにおいての学びはありましたか。
リーダーシップの本質を学べたと実感しており、いま振り返れば、あの泥臭い現場こそが、私のキャリアにおける最大の財産になっています。マネジメントと聞くと崇高な戦略や的確な指示出しを想定しますが、マクドナルドの現場は、そういった理屈や戦略だけでは1ミリも動かない世界でした。
1店舗あたり年間5億〜10億円という莫大な売上を支えるのは、社員わずか1〜2名に対し、ピーク時には25名ものアルバイトスタッフが稼働する多様な組織です 。高校生から主婦層、人生の大先輩である70代の方まで、背景も価値観もバラバラな集団をマネジメントしなければなりません 。若造の店長がどれだけ正しいロジックを振りかざしても、現場の納得感がなければ誰も付いてきてくれませんでした。
そこで学んだのが、「人を動かすのは言葉ではなく、誰よりも店のために汗をかく背中である」という、リーダーシップの本質でした。
具体的には、自分のシフトが終わった後も事務所に籠もるのではなく、フロアの最前線に立ち続けました。忙しい時間帯に誰よりも早くゴミを拾い、トラブルがあれば真っ先に駆けつける 。「この店長は、自分たちの仕事を誰よりも理解し、一番この店を愛している」とスタッフに背中で示し続けることで、世代を超えた強固な信頼関係を築いていきました。
いらないプライドを捨て、一人の人間として現場に溶け込み、誰よりも動く。この「背中で語るリーダーシップ」を1年目に叩き込まれたからこそ、その後のデロイトでの仕組み化や、現在のランプにおける経営職においても、現場の解像度を落とさずに組織を牽引できているのだと感じています。

1人目社員からCEOへ。ベンチャーでゼロから仕組みを創り上げる
――その後、創業間もないベンチャー企業へ転職されたと伺っています。その理由は何だったのでしょうか。
マクドナルドではビジネスの切り盛りは学べましたが、あくまで”店舗単位”での改善であり、組織の仕組みを作る側ではありませんでした。与えられた仕組みの中で頑張る”課長職”的なポジションに満足できなくなり、より上の職位で攻めと守りの両方を経験したいと思ったのが理由です。そこで、東京支社に社員が1人もいないタイミングで、東京支社1人目の社員としてベンチャーの広告代理店に入社しました。
――そこではどのような経験をされてきましたか。
最終的に9年間在籍していたのですが、営業責任者、管理責任者、そしてCEOとしての社長業までを経験させてもらいました。社員100人、アルバイトを含めると300人規模まで会社を拡大させるにまでいたりました。
――マクドナルド時代とは異なり、最初は型がない状態だったと思います。どのように組織を作っていかれたのですか。
入社当時は交通費や経費精算の仕組みすらなく、最初の半年は自分の給料から交通費を出していた笑い話があるくらい、本当に何もありませんでした。本社機能を東京に移転するタイミングで管理部門長がいなかったため、私が人事、経理、総務、法務などを兼任することになりました。
その中で、人事制度や給与会計の仕組み、セールスのKPI設定やマーケティングの導線など、会社のシステムを全て自分でゼロから作りました。マクドナルドで学んだオペレーショナル・エクセレンスやKPI主義の経験が、この仕組み作りにおいて非常に活きたと感じています。

これまでのリアルな現場経験を、「戦略」へ昇華する転換点となったデロイトでの学び
――ベンチャー企業でCEOまで務められた後、デロイト トーマツ グループへ転職されていますね。
はい。自己流で作った型が本当に正しいのか、答え合わせをしたくて体系的な経営を学べる環境へ移りました。
きっかけは、東日本大震災とリーマンショックで、名刺交換をした企業の約6割が倒産してしまうという出来事に直面し、明日は我が身だと怖くなりましたし、それまで自分なりに会社を経営してきましたが、そのやり方に疑念を抱くようになったんです。
MBAの取得も考えましたが、当時の日本では働きながら学べる環境が少なく、海外留学は費用的に難しかったため、コンサルティングファームを選択しました。
――日本最大級のコンサルティングファームであるデロイト社へ転身された後は、どのようなキャリアを歩まれたのですか。
コンサル未経験からのスタートでしたが、まずはパッケージサービスの営業で圧倒的な成果を出し、若手では極めて異例ながら戦略コンサルティング部門へと抜擢していただきました。セールスマネージャーに就任してからは、マーケティングマネージャーや新規事業開発も兼任し、まさに「知の最前線」で揉まれる日々でしたね。
デロイトでの最大の収穫は、それまで培ってきた「現場の泥臭い経験」を、アカデミックな理論や膨大な他社事例と紐づけ、誰にでも伝わる「勝てる型」として言語化する術を身につけたことです。 例えば、3時間で学べるような経営フレームワークを150種類ほど頭に叩き込み、それをクライアントの課題に合わせて高速でアウトプットする。この「徹底的なインプットと実践的なアウトプット」の超高頻度なループを回し続けたことで、私の中にあった「経営の勘」が、再現性のある「戦略」へと昇華されました。
――マネジメントの観点では、デロイト社での経験はどのような変化をもたらしましたか。
「自分がいなければ回らない組織」から、「仕組みで勝てる組織」へのパラダイムシフトが起きました。 広告代理店で社長を務めていた頃の私は、良くも悪くも自分が中心となって動くプレイングマネージャーでした。しかし、そのスタイルでは権限移譲が進まず、組織の成長がリーダーである自分の器を超えられないという限界に直面していたんです。
デロイトで「体系化された型」を用いて組織を側面支援するアプローチを学んだことで、自律的に動く組織の作り方を習得できました。現場の温度感を理解しながらも、一歩引いて仕組みを整え、部下を育成しながら再現性を作る。この「社外COO」的な立ち回りを極めた経験こそが、その後の複数のスタートアップでCOOを歴任し、現在のランプを「勝てる組織」へと導くための揺るぎない基盤となっています。

子どもの誕生が変えた視点。「食×地方」のランプへオールインした理由
――数々の企業でCOOとしてご活躍され、ご自身でも起業ができる力量を持っていながら、今回なぜランプへの入社を決断されたのでしょうか。
大きな転機は子どもが生まれたことです。
月並みかもしれませんが小さな子どもたちを見た時に、日本の未来はこのままで大丈夫なのだろうかという意識が強くなり、世の中にどのような社会貢献ができるかという視点で事業を見るようになりました。これから観光業が日本の主力になっていく中で、インバウンドの観光客を地方に誘致していくためには、どの地方にも必ずある「美味しい飲食店」が強力なコンテンツになると考えました。
――その中でもテイクアウトに注目された理由は何でしょうか。
ウーバーイーツなどデリバリー文化は普及しましたが、運び手が必要なため、地方や過疎地域では成立しにくいという課題があります。しかし、マクドナルド時代の経験から、地方の店舗ほどテイクアウトやドライブスルーの比率が高いことを知っていました。だからこそ、テイクアウトの効率化を支援するランプの事業は、地方の飲食店が稼ぎやすくなり、魅力を維持・向上させるための社会インフラになると感じています。
――ランプのどのような点に惹かれたのか、もう少し詳しく教えていただけますか。
大きく3つあります。
1つ目はプロダクトに対する誠実さ、2つ目は地方市場を見据えている点、3つ目は代表・河野の人柄と思想です。
まず1つ目ですが、テイクアウトは誰にとっても生活の身近にあるサービスで、自分自身も一人のユーザーとして恩恵を受ける立場になり得ます。そのためプロダクトを広げていくことに対して嘘をつかず、真っ直ぐに向き合うことができる。この「誠実さ」を持てる事業であることは、私にとって非常に重要でした。
2つ目の地方市場についてですが、京都に本社を置いているという点に加えて、大都市だけでなく地方の社会インフラとして本気でビジネスを展開しているスタートアップは珍しいんです。日本の次世代に何を残すかを考えたとき、地方をしっかりと見据えている点に大きな可能性を感じました。
そして3つ目として、面接で河野が語っていた「地方でも本気で頑張りたい人が、自分が育った街でビジネスをし続けられる環境を作りたい」という思いです。河野は近江商人の「三方良し」や「一隅を照らす」という思想を根底に持っています。社会のために事業を展開し、光が当たりにくい場所を照らそうとする姿勢に深く共鳴しました。
前職もビジネスマンとして申し分ない状況だったので、転職という選択は一見非合理にも思えました。しかしランプという会社と出会い、前述の理由から自分の残りのビジネス人生を投資する価値があると直感し、入社を決めました。

未完成のフラットな組織で、共に世界基準の「型」を創る仲間を
――現在、ランプの事業やプロダクトはスイーツ業界へはかなり浸透しているように感じますが、どのような状況なのでしょうか。
初期に契約させていただいたのが大手のスイーツ企業様で、オーダーを事前に受けてロスをなくしたいという要望に応えながら開発を進めました。結果的に他のスイーツ店にとっても痒いところに手が届く強いプロダクトになりました。
――今後はどのように事業を展開していくのでしょうか。
今後はこの強みを活かし、飲食全般へと領域を広げていきたいと考えています。
テイクアウトは時間やお金の制約がないため、消費者にとって非常にメリットが大きいです。しかし、飲食店にとっては、イートインやデリバリー、テイクアウトなど色々なところからオーダーが入ると、オペレーションが混み合いデメリットが生じます。
ですから、いかに飲食店側のオペレーション負荷をかけずにテイクアウトを導入できるかが鍵になります。顧客解像度を高め、痒いところに手が届く仕組み作りにもチャレンジしていきます。
――SaaSで多様な飲食店のオペレーションに対応するのは難しそうですが、いかがでしょうか。
おっしゃる通りです。
飲食業界といっても、パン屋、居酒屋、カフェなど、様々な業態があり、オペレーションは均一ではありません。そのため各店舗に合わせたカスタマイズが必要になり、従来のSaaSの概念では実現が難しい領域です。
しかし、生成AIの登場により状況は変わりました。AIエージェント的にサービスを立ち上げることで、多様な業界やオペレーションに合わせやすくなっています。まさに今が、この課題を解くベストなタイミングだと考えています。
――そのようなフェーズのランプにおいて、どのような方と一緒に働きたいですか。
第一に飲食店の現場に敬意を持てる人。第二に、数字で語り検証ができる人。そして、自ら運用まで行い、仕組みで勝ちに行きたい人です。
組織としては一部のヘッド陣とメンバーがフラットに横並びになっている、いわゆる文鎮型の組織です。そのため、まだまだ型ができておらず、未整備な状態。だからこそ、入社して自ら型を作り、そのまま即戦力としてマネジメント側に回るチャンスが多分にあります。
大企業などで決められたことをやり続けることに物足りなさを感じている方にとって、一緒に実践しながら世界基準の型を作り上げていく、非常に面白いフェーズだと思います。
そんな方の次なる舞台として、一緒に日本の未来を明るく照らすプロダクトを広めていけたら嬉しいです。
